「ラウダート・シ」ゴールズ――LSGs
ラウダート・シで目指すもの
7つある「ラウダート・シ」ゴールズは、ともに暮らす家を大切にするために、わたしたち一人ひとりが今すぐにすべき行動、今からできる行動の指針です。
「わたしたちは皆、神の道具として、被造界を世話するために、おのおの自身の文化や経験、自発性や才能に応じた協力ができるのです」(『ラウダート・シ』14)。
1 地球の叫びにこたえて
気候危機、生物多様性の喪失、エコロジカルな持続可能性、そのどれにも等しく対処しつつ、すべての人の人間らしい生のために、わたしたちがともに暮らす家を守るようにという呼びかけです。
具体的な実践としては、再生可能エネルギーの導入、エネルギー自給率の向上、カーボンニュートラルの達成、生物多様性の保全、持続可能な農業の推進、すべての人への安全な水の供給確保などがあります。
2 貧しい人々の叫びにこたえて
受精から死に至るまでの人間のいのちと、地球上のあらゆる形態のいのち、それらを守る使命を自覚し、エコロジカルな正義を推進するようにという呼びかけです。
具体的な実践としては、弱い立場にある人々、たとえば先住民、難民、移民、危険にさらされている子どもなどを最優先にした、連帯を促す事業、社会システムの分析と改善、社会福祉制度などがあります。
3 エコロジカルな経済へ
経済を、わたしたちがともに暮らす家――生命圏に包摂される人間社会を構成する、システムの一つとして捉える理解です。
具体的な実践としては、持続可能な生産と消費、倫理的な投資、化石燃料や地球と人間とに有害な活動からの投資資金引き上げ、循環型経済への参画、ケア労働の重視、労働者の尊厳の保護などがあります。
4 持続可能なライフスタイルを取り入れて
知足(足るを知る)の心をもって、資源とエネルギーの節度ある使用を進めることです。
具体的な実践としては、ごみの削減やリサイクル、持続可能な食生活(植物性食品を増やし、肉類の消費を減らす)、公共交通機関の利用拡大、徒歩や自転車での移動、使い捨て製品(プラスチックなど)の回避などがあります。
5 エコロジカルな教育を
エコロジカルな意識と変化をもたらす行動とを醸成するため、カリキュラムや学習環境を、インテグラル・エコロジーの精神で見直し、刷新することです。
具体的な実践としては、公正な教育機会の確保、人権意識の向上、『ラウダート・シ』の問題提起の共有、エコロジカルなリーダーシップの奨励(学生だけでなく、教師に対しても)、生態環境の復元活動などがあります。
6 エコロジカルな霊性で
エコロジカルな霊性は、被造物の美に、病者のため息や悩める者のうめきに、「あらゆる物事の中に神を見いだせるよう」促す霊性で、エコロジカルな深い回心からわき出るものです。この霊性は、霊的生活とこの世の現実とは切り離すことができない、という理解に基づいています。
具体的には、創造のみわざに心を向ける典礼祭儀や、すべてのいのちを守るよう動機づけるカテケージス、黙想会、養成プログラムの工夫などがあります。
7 地域社会のレジリエンスとエンパワーメント
地域社会のもつ、困難から立ち直る力(レジリエンス)と、協力体制の底上げ(エンパワーメント)を生かして、地域の取り組みや住民参加の活動が、さまざまなレベルで、同じ一つの道をともにする(シノドス的な)歩みとなるよう目指すことです。
具体的には、権利擁護活動の推進、市民キャンペーンの展開、身近な自然環境や地域社会とのきずなを深め、帰属意識を強めることなどがあります。
(2024年1月30日 文言一部修正)+(2024年6月10日『見よ、それはきわめてよかった』に合わせて文言一部修正)