2024年 すべてのいのちを守るための月間 司教の談話

2024年すべてのいのちを守るための月間
「ラウダート・シ」デスク 責任司教談話

「被造物とともにあって、希望し行動しよう」

 教皇フランシスコは、今年の被造物を大切にする世界祈願日のメッセージ、「被造物とともにあって、希望し行動しよう」の中で、来年祝われる聖年を踏まえ、困難に直面していても希望をもって、謙虚に、ともに歩みを進めるよう招きます。

 「被造物とともにあって、希望し行動するということは、まず第一に力を合わせることであり、善意あるすべての人とともに歩みつつ、『人間の力という問題を、その意味と限界を、あらためて問い直す』べく尽くすことです」。

生かされている――  
 皆さんは、こんな思いが心の底から湧き上がってくることが最近ありましたか。自分で生まれてきたわけでも、自分だけで生きているわけでもなく、さまざまなつながりの中で今自分が生かされている、ということは考えてみれば当たり前のことですが、それを実感として深く感じることがありますか。

 「地上での生活の中でイエスは、好意と驚きに満ちたまなざしをもって自然に触れ、神の被造物への優しい養いについて語ります。『空の鳥をよく見なさい。種も(ま)かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる』(マタイ6・26)」(日本カトリック司教団『見よ、それはきわめてよかった――総合的なインテグラルエコロジーへの招き』51)。

 イエスのセンス・オブ・ワンダー、驚きに満ちたまなざしは、わたしたちが総合的な(インテグラル)エコロジー、すなわち神と、他者と、自然と、そして自分自身と調和して生きる道筋を示しています。今年のすべてのいのちを守るための月間の間、イエスの驚きに満ちたまなざしで自分を取り巻くいのちのつながりに目を向けてみませんか。

 今年の7月、日本の司教団は23年ぶりとなる司教団文書、『見よ、それはきわめてよかった――総合的なインテグラルエコロジーへの招き』を発表しました。すべてのいのちを守るための取り組みに招くこの本を、ぜひこの月間にお読みいただけたらと思います。その一節を引用し、皆様に呼びかけます。

「ともに暮らす家を大切にする生活をし、地球のケアにつながる取り組みを展開している大勢の地球市民が、今も活動し続けています。そうした人々とともに、また、そうした人々に導かれながら、いつくしみとまことにあふれる創造主の心に思いを馳せつつ、忍耐と希望のうちに、『すべてのいのちを守る』旅をともにできるなら、どれほど喜ばしいことでしょう」(45)。

 

2024年8月6日
「ラウダート・シ」デスク
責任司教 成井大介

(参考)

 世界のキリスト教諸教派は、9月1日からアッシジの聖フランシスコの祝日である10月4日までの約1ヶ月を「被造物の季節(Season of Creation)」と定め、神と、自然と、わたしたちの関係をふり返って祈り、祝い、回心し、その関係改善に向けての取り組みを進めています。カトリック教会もこのエキュメニカルな活動に参加しており、教皇は9月1日の「被造物を大切にする世界祈願日」に向けて毎年メッセージを出しています。
 また、日本のカトリック教会は、2019年の教皇来日時の呼びかけに応え、2020年より被造物の季節と同じ期間を「すべてのいのちを守るための月間」と定め、意識と自覚を深めつつ、具体的に行動するよう呼びかけています。

「すべてのいのちを守るための月間」設置について

2024年「被造物を大切にする世界祈願日」教皇メッセージ「被造物とともにあって、希望し行動しよう」

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