被造物の季節 2023 Season of Creation
被造物の叫びに対し、全キリスト者でこぞって祈り、皆でこたえる集中月間です。緊急性が高まる中、わたしたちは地球と、地球上にあるものとの平和を、見えるかたちで実現しなければなりません。正義が求めるのは悔い改めること、生きる姿勢と行動を変えることです。神の民としてともに働き、絶望ではなく希望を生み出していきましょう。
2023年のテーマを深める
2023年は「正義と平和を大河のように」(アモス5・24)をテーマに、心を合わせましょう。
これまで人類が知識を蓄え、豊かさを享受し、偉大さを称えてきたこの世界は、急速に変化し、修復不可能なものにまでなりつつあります。生物多様性は、最後の大量絶滅以来見られなかった度合いで失われつつあります。平均気温の上昇を摂氏1.5度以下に抑えるという希望は薄れつつあります。若者の未来は、生物多様性の喪失と気候変動の段を重ねるごとに規模を増す影響によって脅かされています。大きな富をもたらした工業化、植民地化、資源の抽出と消費は、その不平等な分配をきたすものでもありました。わたしたちは今、これまでよりもはっきりと、化石燃料と暴力や戦争とのつながりを認識させられています。
緊急性が高まる中、わたしたちに求められているのは、地球との平和そして地上の平和を目に見えるものとし、悔い改め、態度と行動を変えて、正義に適う者となることです。わたしたちが神の民としてともに働くならば、絶望の代わりに希望を生み出すことができます。創造主の無限の愛といつくしみは、砂漠に水をわき出させ、流れを生み出すことができます。紛争をもたらす経済に代わって、平和をもたらす経済を構築することができるのです。
祈りや説教や典礼を通してわたしたちが求めているのは、人間のための正義にとどまらない全被造界のための正義に相違ありません。平和に背を向けることのない正義がわたしたちに呼びかけています。エコロジカルな罪を悔い改め、態度や行動を変えるように――と。義の命じるところ、それは、わたしたちが平和のうちに生きること、すなわち、隣人と対立せず、すべての創造物との正しい関係性を紡ぎながら生きることです。
「被造物の季節」中になされる個人の行いは大事です。それに加えてわたしたちは、正義の動きを力強い流れにするには個人的な行いでは足りない、と認めもするでしょう。歴史上放ってはおけない負債を支払うこともまた、正義には含まれています。地球規模で見れば、権力や富を有する国々には、気候危機やエコロジカルな危機が原因で大きな苦しみを背負わされているコミュニティを、しかるべく真摯に処遇する義務があるのです。
30年以上にわたり手を携えてきたグローバルサウス諸国は、気候変動枠組条約に基づくCOP27で、気候変動による損失と損害に対する資金調達は裕福な国々の道徳的義務である、と認めさせ、やっとのことで勝利を収めました。生物多様性枠組条約に基づくCOP15が下した生物多様性保全に向けた最近の決定も希望を感じさせるものですが、同様の粘り強さを必要としたのです。これらの勝利が得られたのは、小さな力しかもたない人々が手を携えることによってでした。わたしたちは手を携えることによって、地球にそして将来世代に新しいいのちをもたらす正義と平和の大河、不正の山々を動かすことのできる流れになることができます。
教派を超えた地球家族であるわたしたちは、これらの行動に加わって、生命の織物(web of life)の保護とケアが確かなものとされるよう貢献することができます。今年度(2023年)の「被造物の季節」に行われる祈り、権利擁護の訴え、持続可能な行動は、教派を超えたわたしたちの一致に、また、ともに暮らす家を気遣うわたしたちの思いと行いに、預言的な一新を遂げさせてくれることでしょう。神の民としての交わりのうちにともに歩み、正義と平和を大河のように流れ出させることができますように!
この年の被造物を大切にする世界祈願日の教皇メッセージのテーマも、同じく「正義と平和を大河のように」です。
2023年のシンボルマークについて――大河
大河は、「被造物の季節2023」のシンボルです。期間中の催しでは、ぜひ大河のシンボルを使用してください。預言者アモスは、「正義を洪水のように、恵みのわざを大河のように、尽きることなく流れさせよ」(アモス5・24)と叫びます。ですからわたしたちは、正義と平和の流れに加わり、気候正義とエコロジカルな正義を取り上げ、気候正義の欠落と生物多様性の喪失の影響をもっとも強く受けているコミュニティとともに、また、そうしたコミュニティのために声を上げるよう、求められているのです。
預言者イザヤは、「見よ、新しいことをわたしは行う。今や、それは芽生えている。あなたたちはそれを悟らないのか。わたしは荒れ野に道を敷き、砂漠に大河を流れさせる」(イザヤ43・19)と宣言します。わたしたちは、全被造界を代表して正義と平和の流れに加わり、支流が合わさって大河となるように、正義に向かうこうしたより大きな動きに、名前や家族や信仰共同体を有する一人ひとりのかけがえのない自己を注ぎ込むよう、招かれています。神の民であるわたしたちは、全被造界のために手を携えて、平和と正義の大河に合流しなければなりません。